どうしようもない彼はどうにかなるのか②
H氏は、自分の感情にとても素直な人だった。
そして、人懐っこくて誰にでも優しい。
打算的なところはなく嘘もつけない。
だから浮気も、してやろうと企んで…ではない。
気づいたら戻れないとこにいってる。
そして、自分の感情に素直になる。
でも、隠せない。
だから、後悔して謝って…
「悪気がなくて悪いことする人間の方が
悪気があって悪いことする人間よりたちが悪い」
治しようがないからだって、よく母が言ってた。
H氏見てると、その言葉がよく思い出された。
いっそ、隠し通してくれた方が楽なんだけど。
騙してくれた方が楽なんだけど。
最後まで悪者になりきれない。ズルいよなと思う。
それも、計算じゃないんだし。
素直全開!
待ち合わせたのは、ホテルのレストラン。
一度、二人で来たことのあるところだった。
「距離をおいてみて、やっぱり失うのは嫌だと思った。指輪とか準備できてないんだけど、結婚しよう」
いきなりそんなカードを切られた。
もう、そんなタイミングじゃないよ。
残念。
予定通り、忍ばせてたカードをこちらから切り直し、
プロポーズ?されたその日が別れた日になった。
「一度壊れた信頼は、もう二度と修復できない。それが一番大きい。」
そんなことを言ったと思う。
つぎ、付き合う人とは同じ失敗繰り返さないでね…
とか、お節介な一言を付け加えて。
彼もガッカリしてるようだった。
過去の過ちは、取り返しつかないんだってことに沈んでた。
どうしようもない奴だとか思ってたけど、少しは懲りてくれればいいな。
落ち着いてきてるし、変わるかな。
そんな風に思ってた。
別れてからも職場は同じわけで、私は同じ職場で別の人と結婚するっていう荒業に出たりしたんだけれど、多少のダメージを与えた程度で、険悪な雰囲気になることもなく、付き合いの長い同僚って感じになった。
そんなある日、彼から相談された。
続く